Topaztan’s blog

映画やドラマの感想や考察をつづっています

ドラマ

光る君へ 第二話感想 〜 親世代と子世代の葛藤

(『意匠図案の栞』6(秋田県内務部、明治36.)国立国会図書館デジタルコレクションより ) 第二話も引き続き面白かったです! 平安時代のイントロダクションも引き続き行いつつ、登場人物のキャラ立てを行っていきそれを今後の展開に結びつけるという、隙のない…

源実朝の「夢日記」に書かれていたもの〜『鎌倉殿の13人』小道具の解読の試み〜

『鎌倉殿の13人』の42回「夢のゆくえ」で、将軍源実朝が宋の工人陳和卿と面会し、その内容が以前実朝が見た夢に一致するという、吾妻鏡でも有名な逸話を元にしたシーンが描かれました。 <ドラマあらすじ> 1216年6月、源仲章が京から宋の国の匠、陳和卿を連…

『鎌倉殿の13人』における源実朝像の「新しさ」とは何か ー 従来の実朝像・研究動向との比較 <後編>

林勇『少年 右大臣源実朝』(大同館書店、昭和6年)挿絵(国立国会図書館デジタルコレクションより) 前編のつづきです ※2023年5月25日に 16)官位について の項目を追加しました 3.ドラマと史料類との異動・考察 1) 時政との関係 2) 疱瘡 3) 和歌への傾倒 4) 結…

『鎌倉殿の13人』における源実朝像の「新しさ」とは何か ー 従来の実朝像・研究動向との比較 <前編>

土岐善麿『源実朝 (青少年日本文学)』(至文堂、昭和19年) の挿絵 羽石光志 画 ※国立国会図書館デジタルコレクションより 源実朝は、近年著しく評価が変わってきた人物の1人です。たとえば実朝没後800年に編まれた、和歌研究者の渡部泰明氏編の『源実朝 虚実…

ドラマ『ロキ』とファシズム

昨年からディズニープラスで配信されているドラマ『ロキ』について以前分析しましたが、このドラマでは大変興味深いことに、「ファシスト」という言葉が登場しました。 その言葉を発したのは「シルヴィ」という登場人物です。彼女はTVA(時間変異取締局)に、T…

老いと現代の価値観についていけないマジョリティ女性の不安〜『AND JUST LIKE THAT... / セックス・アンド・ザ・シティ新章』

12/29から配信され始めたセックス・アンド・ザ・シティの新章、第1話を観ました。 全体としては、昔のシリーズの焼き直しにはあまりなっておらず、年齢を重ねた女性たちの、いわば等身大の姿を描こうとした点は好感が持てるものでした。 たとえば諸事情あっ…

ドラマ『ロキ』: 内面の成長を重視した物語〜いたずらの神の自己受容/他者受容と脱ファシズム

7/14に衝撃的な終わり方をしたMCUドラマシリーズ『ロキ』、皆さんはどうご覧になったでしょうか? 最終話はマルチバースの扉を開く展開、唐突な終わり方とシーズン2を予告する手法など、驚きの要素が満載でした。またシリーズを通して見ると、TVA職員メビウ…

『ソー』(2011)におけるロキの抑圧と疎外 ー 親のダブルバインドと異民族の出自に苦しむ子供としてのロキー

1.初めに ディズニー+で配信されているドラマ『ロキ』をよく味わうために、今までのソーシリーズを見返しています。今までも何回も観てきましたが、改めて見直すとまた色々発見があります。 中でもそもそもの初めの『ソー』(邦題『マイティー・ソー』)(201…

ロキは真の力を覚醒させうるか〜英雄/神の冥界下り物語としての『マイティー・ソー』『ソー・ラグナロク』、及びそのリフレインとしてのドラマ『ロキ』

1.はじめに…『ソー: ラグナロク』と『ロキ』の類似性 6/9からディズニープラスで配信されたマーベルのドラマ『ロキ』は、世界中で大変注目され、大人気となっています。彼は映画では2018年『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』において、これまでで最…